上宮中学校の修学旅行 ~3つのコンセプト~
上宮中学校では修学旅行を「最大の学校行事」として位置付け、1期生の修学旅行から議論、試行錯誤を重ね、1つのコンセプトを見出しました。
第一に都会では経験できない第一次産業に従事しておられる人たちと直接ふれあい、寝食を共にしながら、「感謝・思いやり・絆」を感じ、学ぶことで、まさに『人として必要な徳育を培い、「生きる力」を育てる』ということです。
ふたつ目には、学校見学や社会見学などのアカデミックな体験を取り入れることです。将来の進路選択に役立てさせるため、旅行中1日はしっかりと勉強をしてもらいます。
そして3つ目は、生徒の自主性を重んじる班別1日研修行動です。
24年度実施行程
内容 | 宿泊 | |
1 | 新大阪~別府 地獄めぐり、アフリカンサファリ見学 | 別府湾ロイヤルホテル |
2 | 立命館アジア太平洋大学で留学生との交流 (グローバル人材育成プログラム) 佐伯市・臼杵市へ移動、入村式の後分宿 | 農村民泊 |
3 | 農業・農村体験など 昼食はお好み焼きのふるまい | 農村民泊 |
4 | お別れ式の後、阿蘇へ移動 阿蘇草千里トレッキング | 阿蘇いこいの村 |
5 | 熊本市内1日班別自主研修 熊本~新大阪 |
グローバル人材育成プログラム
この日は生徒たちにとって一番緊張する日でした。9時30分に大学へ到着すると、その緊張感を一掃してくれたのが留学生たちの笑顔のお出迎えでした。「HELLO」、「HOW DOU YOU ?」などの英語が飛び交い、後は留学生に任せて15時までプログラムにしたがって交流を進めていくのです。
実は私たちもこの留学生との交流は、英語教育に対して考えさせられる1日でもあります。日頃は試験で高得点をとるための勉強をさせていますが、果たしてそれが本来の英語教育なのか、ふと疑問に感じる時もあります。
ここで本当に分かって欲しいのは、何のために英語を学ぶのか、どうすれば楽しく英語を学べるのか。その答えのヒントを見つけて欲しいのです。ちょっとしたきっかけで人は変わります。そのきっかけをつかんで欲しいのです。しかし、こちらの心配をよそに、生徒は留学生と打ち解けていき、片言の英語が飛び交い、笑顔がはじけていました。
今回のプログラムは「世界にはばたく」というテーマで留学生と話し合い、最後にプレゼンをするというものです。プレゼンは少し心配しましたが、生徒全員が英語でしっかりと発表する姿を見ると、3年間彼らを天塩にかけて育てた私たちの胸にも熱いものがこみあげてきました。また、このプログラムを企画して本当に良かったと思う瞬間でもありました。
農業・農村体験
一番心配した天気も快晴で、まさしく農業体験日和でした。生徒は、1.佐伯市の農産物の収穫体験、2.臼杵市の稲刈り体験に分かれて、全員で農業体験を行い、その後は各家庭で各々の農村体験をさせていただきました。川遊び、魚釣り、蟹とり、栗ひろい、しいたけ狩り、木工細工、五右衛門風呂体験など、都会では絶対出来ない多種多様の体験が出来ました。
そして、その後の昼食では、生徒たちが本場の「お好み焼き」をふるまいました。実は、この「お好み焼き」は夏休みの宿題としており、その甲斐あって、大変好評であったようです。
その間、教員たちは、前夜の夜に佐伯市・臼杵市の観光課職員の方々と入年な打ち合わせを行い、引率橋委員全員(本部待機は除き)で2人1組になり、全家庭を訪問してまわりました。
どの家庭でも生徒は、学校では見たことのない笑顔で教員を迎えてくれました。このファームステイの目的である「感謝・思いやり・絆」を生徒は深く感じとってくれたようです。
ありふれた言葉かもしれませんが、何も不自由なくそだった都会の私立学校の生徒にとっては、このうえない体験をさせていただいたと思います。
また、民泊先のご家庭からの心温まるおもてなしと、心打つお話を聞かせていただき、生徒は今までの生き方を見つめ直し、これからの人生の生き方を考えさせられたようです。
本当に有意義な時間を過ごさせていただき、感謝しています。
班別自主研修(熊本市内)
最終日は熊本市内に移動し、生徒たちにとって楽しみな班別自主研修です。各班練りに練った特色ある行動を満喫していました。
心配は迷子になることと、集合時間に集合出来るかでした。生徒には、GPS付きの携帯電話を渡し、本部ですべての班の現在地を掌握し、何かあればすぐに連絡がつく体制で臨みました。
集合時間の熊本駅に生徒たちは、両手にお土産を持ち、充実感あふれる顔で予定時刻に無事全員集合することが出来ました。